―時は今から約2600年前の12月8日の明け方、場所はインドの国―
この日、仏教の開祖・お釈迦様が菩提樹下で坐禅をしながら、お悟りを得、佛になられました。お釈迦様35歳のときのことです。これを「成道(じょうどう)」と申します。成道は成佛得道(じょうぶつとくどう)のことで、長年の仏道修行によって、佛と成り、その道を得たことを意味します。そんな成道の日である12月8日は〝仏教の誕生日″と解することができるでしょう。
お釈迦様の成道にちなみ、曹洞宗ではご本山を中心に12月1日から8日にかけて、昼夜を問わず、日々の業務を中断させ、坐禅修行に勤しみます。これは「臘八接心(ろうはつせっしん)」と呼ばれます。旧暦の12月を「臘月(ろうげつ)」ということから、12月8日を「臘八(ろうはつ)」とし、自らの心を摂(おさ)め、少しでも御仏のお悟りを体得し、その生き様に近づいていく機会となるのが「臘八接心」です。
お釈迦様のお悟りとは何でしょう。大きく下記の3点にまとめることができるでしょう。
① 一切の迷いを断ち、煩悩を調整できるようになった。
② 人間世界の真理をそのまま受け止めることができるようになった。
③ 自分が周囲の様々な存在とかかわりながら生かされていることに気づいた。
日常生活に目を向けると、様々な苦悩を抱える我々凡夫ですが、その原因は、他者ではなく、自分にあります。周囲の存在に対して、自分の好悪等の間隔で是非を判断したり、変えようのないこの世の道理を自分勝手な視点で捉えようとしたりと、お釈迦様のお悟りとは真逆のことをしようとするから、苦悩が発生するのです。
私たちがお釈迦様を見習い、自らの心を摂めて過ごしていくには、自分が意識していくことが大切です。タイトルに「リフレーミング」とありますが、従来のフレーム(枠組み)を外し、違う枠組みで物事を捉えていく思想です。どうか成道の機会に、自分たちを苦悩させるフレームを外し、自分の心を摂めるフレームをできるだけ多く見つけていきたいものです。
宗務所