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今月の法話 2019/10/01

宗務所

〝安心〟のある毎日を  ー「衆縁和合」の意識化ー

連日、テレビ等で見聞きしないことがないくらいに大きな社会問題となっている「あおり運転」。あれほど大きく、世間で取り上げられているにも関わらず、事態が収束する気配がないことに呆れかえっている方も多いのではないでしょうか。

この問題を仏教の側面から捉えみたいと思います。

まず、押さえておきたいことは「衆縁和合(しゅうえんわごう)」ということです。これはこの世の様々な存在はお互いにつながり、関わり合って、大きな人間の世界を形成しているということです。

我々がいのちをいただいて生かされているこの世界には、人やモノ、動植物等、様々なないのちが存在しています。そして、それらは個別に存在しているのではなく、お互いに関わり合って存在しています。「自分が知っている・知らない」とか、「自分の好き・嫌い」に関係なく、全てはつながっているのです。このことは誰しも否定のしようがないこの世の真実です。

そうした自分の周囲に存在する全てのいのちに対して、丁寧に関わり、相手を悲しませたり、苦しめたりすることがないよう、自らの言葉や行いに配慮していくことの大切さを仏教は説きます。これぞ、私たち一人一人が周囲の存在に対して心がけていきたいことです。それは私たちが相手の存在を敬い、そのいのちを輝かせていく尊い行いに他なりません。たとえ相手の言動に怒りの感情を覚えたとしても、自分の中に沸き起こってしまった悪しき感情(煩悩)は自分の中で調整して、表に出さないようにしていくことを心がけていきたいものです。そうすることで、「あおり運転」のような問題が起こりにくくなるように感じます。

私たち一人一人が周囲の存在と関わっていることを意識し、みんなが喜び、幸せを感じられるような言動を施し合っていくことを意識しながら、安心感のある日常が訪れることを願ってやみません。