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今月の法話 2022/07/01

宗務所

7月の法話 「つながり」

7月の法話 「つながり」

 皆様こんにちは。七月に入りますとお寺では施食会という法要が行われます。
 この法要は本堂に特別な棚を設けて中央に三界萬霊(さんがいばんれい)<全ての世界に存在していた亡きいのち>というお位牌をまつります。これは檀信徒の方々の御先祖様だけでなく、すべてのいのちに対して、野菜や果物、ご飯等の供物をお供えして供養するものであります。なぜすべてのいのちに対してかというと、私達がすべてのいのちとつながっているからであります。

仏教にはつながりを表すこんなお話があります。
昔ヒマラヤ山脈に共命鳥(ぐみょうちょう)という頭が二つに胴体が一つの不思議な鳥がいました。
二つの頭にはそれぞれカルダ、ウパカルダという名前がありました。
二人は体か一つしかないのでいつも意見が分かれて喧嘩が絶えませんでした。
しかし、ある時ウパカルダがぐったり寝込んでしまった時がありました。
心配になったカルダは一人で食料を探し飛びまわり、やっとの思いで美味しい果実を見つけました。そして体が繋がっている自分が食べれば栄養が体を通してウパカルダに行き渡ると思い、彼の為に果実を食べました。
そして、ウパカルダが元気に目を覚ましたのを確認したカルダは安心してそのまま寝てしまいました。
しかし、目を覚ましたウパカルダは、目の前の木に果実が一つもなく、食べてないのにお腹がいっぱいな事に気付き、怒り出してしまいます。
「僕が寝ている間にカルダがきっと果実を独り占めにしたんだな。」
そう思ったウパカルダはカルダの寝ている間に毒の実の前まで飛んで行きました。
そしてあろうことか、カルダを騙して毒の実を食べさせます。
「これで僕は好きなようにどこへでも行けるようになる。これから僕は自由の身だ。」
そう思ったのも束の間、体を通して自分にも毒が回ってきました。
意識が薄れゆく中カルダが言いました。
「ウパカルダ。僕は君の為にしたつもりだったけど、黙って一人で食べてしまってごめんね。」
カルダの優しさを知ったウパカルダは大変後悔しました。
「そうだった。僕たちはずっと一つだったんだ。カルダ、本当にごめんね。」
 
このお話は自分自身の為だけに生きていると、いつか自身や相手を傷つける事になり、私達が一人で生きているのではなく、大きなつながりの中で生きていることに気付く大切さを表しています。
施食会の法要はすべてのいのちに対する感謝や敬いの心を表しているものであり、法要を通して目に見える形でつながりを感じることが出来るものであります。この期間にはすべてのいのちに手を合わせ、自分のいのちや御縁のありがたさを感じていただけたらと思います。