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お知らせ 2020/06/01

宗務所

6月の法話 ~今・ここで出来ることを~

新型コロナウィルス感染症により尊い命を失われた皆様に深く哀悼の意を表します。
また罹患された皆様におかれましては、一日も早いご回復をお祈りいたしますとともに、その近親者の皆様に、心よりお見舞い申し上げます。
先日、お墓参りに来ていたお婆ちゃんが、亡くなった旦那様の好きだった缶コーヒーを直前まで氷水にいれて冷やしてからお供えする姿を見て、本来の法事は出来なかったけど、心のこもったいいお参りをされてるなと思いました。
最近では長期にわたる外出自粛にともない、今までと違う場所や環境で仕事や生活を行うことが多くなり、以前のように十分に力が発揮できなくなったり、本来なら出来ることが出来ないことに悩まれる方も多いことと思います。
実はお寺の修行の中でもさまざまな役割(仕事)が次々に割り当てられ、環境が変わり同じように悩むことも多々あります。
その中で大本山永平寺を開かれた道元禅師様はこのような仏道修行の心構えを示されました。
「一茎草(いっきょうそう)を拈(ねん)じて宝王刹(ほうおうせつ)を建て、一微塵(いちみじん)に入りて大法輪(だいほうりん)を転ぜよ。」
【一本の草を取るような些細な仕事でも、そこに一つのお寺を建てる事を想像させるが如く丁寧に心を込めて行い、一微塵のような狭い場所でも常に全力で仏法を説き続けなさい。】
人はどうしても以前と環境が違うとか、その仕事の重要さや大きさが違うとか、自分の心の中でいろんなことを差別し悲観して、知らない間に力のいれ方を変えてしまう事があるものです。しかし、どんな瞬間、どんな場所でもその行いには大切な意味と働きがあり、理想の実現への道があると示されています。
これからめまぐるしく環境や常識が変わりゆく中で一人一人が他と比べることなく目の前の今・ここで出来ることを丁寧に誠心誠意行い、出来ないことは互いに助け合いながら一刻も早く元の生活に戻れるよう日々努めていく事が大切ではないでしょうか。